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2008.02.25 Monday  | - | - | - | 

アメリカ人留学生現る。

 今年度、私は高校2年生の担任をしている。昨年度以上に忙しい毎日を過ごしているわけだが、授業や部活やその他の校務に加えてもうひとつ、4月から3ヶ月間だけ引き受けた仕事がある。それは、アメリカからの留学生の面倒を私のクラスで見るということである。そのアメリカ人(白人)の生徒は短期留学で4月の初旬から日本にホームステイしている。3ヶ月間の滞在なので、6月末にはアメリカに帰ることになっている。アメリカ人にしてはめずらしいくらいおとなしい女の子で、むしろ元気なクラスの雰囲気になじむまでに少し時間がかかった。まだ私自身知り合って間もないのだが、とてもまじめな子であると思う。アメリカで3年間日本語を勉強していたというが、やはり授業内容理解や連絡事項の伝達ということになると難しいので、英語ができる担任がクラスに引き受けて面倒を見るということだったので、私が手をあげた次第だ。
 
 留学生が来校する直前の英語科の会議では、いかに彼女を手厚くもてなし、不自由ないように生活させてやるかということが話し合われた。留学生の窓口になっている先生からは「留学生を持つと何かと世話をしないといけないので本当に大変だけど頑張ってくださいね。寂しい思いをさせないようにいろいろ考えてやってください。」と言われた。私はこういう考えは留学生に対する日本人のよくない態度の表れであると思う。
 
 外人コンプレックスを持つ日本人は留学生でも何でも外国人はお客様だと考えてか、これでもかというくらい手厚くもてなす。考えてもみてほしい。留学生は自ら望んで異国の地に来るのだ。そして自ら望むからにはそれなりの目的があるはずであり、その目的とはたいていその国の言語や文化を一身にあびて学ぶためである。異国の地で自らを厳しい環境下に置き、右を向いても左を向いても異国人という状況の中で疎外感や孤独感を覚えつつ目標を達成してこそ留学の価値があるというものだ。つまり、必要以上に手厚くもてなすことは留学生にとってありがた迷惑のほか何ものでもないのである。親切にされたその瞬間は本人もありがたいと思うだろう。しかし、結果的にそれは留学生のためにならない。もちろん自分から友達を作ったり、積極的に人間関係を作ったりする過程で、さまざまな親切を受けるというのならば何の問題もない。そういう経験を経て帰国した際に「日本人はみな親切な国民だった。」と言ってくれるのであればこちらもうれしいではないか。しかし、はなから「異国の地で大変だろうから苦労をさせないようにいろいろやってあげましょう。」というのではこれから得ようとしている貴重な経験が台無しだ。
 
 私は2年間アメリカに留学をしていたので、最初の数ヶ月間の苦労は身にしみてわかる。だからこそその経験をしてもらいたいと思う。私と同時期に留学していた友人などは、バスの中で友達と日本語をしゃべっていたら隣に座っていたアメリカ人のオヤジに「だまれ!日本語をしゃべるんじゃねえ!」と言われたそうである。あるいはもっと露骨な人種差別を体験する人もたくさんいることだろう。日本に留学するアメリカ白人はそのような差別をされることはまずないわけで、それだけでもラッキーだと思わなくてはいけない。そしてアメリカ人をはじめ英語のネイティブスピーカーが普段経験することのない「自分の言葉が通じない」という、疎外感、孤独感を体験できること、つまりこの国では自分がマイノリティの人種であるという貴重な経験ができることをありがたく思うべきなのである。
 
 うちのクラスの生徒には彼女が来日する前に「このクラスに最初の3ヶ月だけ留学生が来るぞ。」と言ってあった。クラスはいっせいに「イエーイ!」と妙な盛り上がりを見せたわけであるが、この時点で我がクラスの生徒ほぼ全員が、留学生と言えば英語のネイティブスピーカー、アメリカ人またはイギリス人・・・と勝手に思っていただろう。ちょっとリアクションを確かめたかったので、どこの国でもよかったのだが思いつきで「国籍はミャンマーです・・・。」と言ってみた。予想通りのリアクション。総「ええーっっ!!?」である。「ウソです。アメリカ人です。」と言ったあと、もともと生徒に伝えようとしていたことを言った。「英語で話しかけるなよ。」ということ。英語の教師からまさかの忠告である。「欧米人を見るとすぐに英語で話しかけるのは日本人の悪い癖だ。ここは日本なんだから日本語で話しなさい。まずは日本語で話しかけて、それで相手がポカンとしたり、ワカリマセンということになったらそこで初めて英語を使ってあげなさい。」留学生がポカンとした日本語を生徒たちが英語で表現できるか、はなはだ疑問ではあったが、そう告げた。「だいたい日本に覚悟を決めて留学しに来るのに、英語でしゃべられたら逆に拍子抜けするよ。日本語を勉強しに来たんだから日本語をしゃべってくれ、と思うだろ、ふつう。みんなが意を決してアメリカに留学したとして、アメリカ人がへたくそな日本語でずっと話しかけてきたとしたら、ふざけるな!って思うでしょう。」とも言った。大体の生徒は納得したと思う。
 
 それにしてもおとなしい子で、最初のころはクラスの生徒が話しかけても、たいした反応もしなかったので、私もどうしたものかと思っていたのだが、最近は友達ともしゃべるようになったし、笑顔も多くなったのでいい傾向である。しかし、なんだかんだ言ってやはりいろいろ大変である。私自身も彼女を引き受けてから、ものすごく貴重な経験をさせてもらっている。もっとも、私がすんなり留学生を引き受けた理由のひとつは、大いに自分の勉強にもなるだろう、ということなのだが。

 また追って留学生に関する出来事を報告したいと思う。
2007.05.02 Wednesday 00:53 | comments(5) | trackbacks(1) | 英語・英語教育 | 

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2008.02.25 Monday 00:53 | - | - | - | 
(2007/05/15 11:03 PM)
まさにそのとおりだと思います。日本人は外国人を甘やかしたり、ありがたがったりしすぎると思います。
カルマ (2007/05/16 9:28 AM)
耕さん。コメントありがとうございます。アメリカに留学する人は変にかぶれて来ないで、アメリカ人の外国人への応対を学んでくればいいと思ってしまいます。まるまる真似しろとは言いませんが。
チョンガー公爵 (2007/06/04 1:58 PM)
僕も仕事柄留学生(ほとんどアジア)と接する機会が多いのですが、彼らにはまず古事記にある日本の成り立ちを説明することにしています。その後、天孫降臨の話、天皇家が神話から続く日本の君主である話などをしてあげます。
たいていの留学生は興味深く聞いてくれましたよ。
milesta (2007/06/10 4:49 PM)
うちの子達は公立の現地校に通っていますが、一人は通い始めた当初は英語を一言も喋れませんでした。もちろん日本語のわかる先生も生徒も皆無でした。だから、週に一回二時間程度のの英語の補修以外は普通の生徒と同じに、普通に授業を受けていました。担任の先生が、面倒見のよい性格の子を隣に座らせて、わからないことがあれば、その子が英語で説明してくれていました。今ではその子とは無二の親友になりました。
うちの子は、特別扱いされて注目を浴びることを嫌がっていました。「特別」は差別やいじめにも繋がる場合があると思います。その点、先生方と私の考え方が一致していたので良かったです。
カルマ (2007/06/12 12:13 PM)
チョンガー公爵さま。
 貴重なアイデアをありがとうございます。日本の神話は外国人だけでなく、日本人の生徒にこそ教えるべきだと思うのですが、留学生のほうが興味を持って聞くような気がしますね・・・。

milestaさま。
 なるほど〜。アメリカだといろんな人種がいますから、特別扱いがいじめにつながるのでしょうね。日本だとみんなと同じに扱うと逆に「かわいそう」となってしまうし、外国人は特別扱いが当たり前みたいな風潮があります。やさしさでやっているのならいいのですが、「外人様」でやっているとしたら改善すべきだと思います。
 ちなみに私も面倒見のいい女子をまわりに配置しましています。









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